April 2018 - 香港における移転価格関連改正法案の発表

香港において、2017年12月29日、税源浸食と利益移転(BEPS)行動計画にて言及されている重要な対応策を実施するための法案(内国歳入法2017年6号改正法案、以下「改正法案」)が官報にて発表されました。本稿では、改正法案の移転価格関連規定について解説します。

導入

香港では、従来、移転価格による租税回避に対抗する上で、税法において極めて限定された規定および実務解釈指針を参照してきました。そして、2016年6月の経済協力開発機構(OECD)による税源浸食と利益移転(BEPS)に対抗するための包括的枠組みへの参画、2017年7月の市中協議報告書の発行に続き、2017年12月29日、主としてBEPS行動計画にて言及されている重要な対応策を実施するための法案(内国歳入法2017年6号改正法案、以下「改正法案」)が官報にて発表されました。この改正法案は、2018年夏までに承認される見込みです。

改正法案は、明文化された移転価格税制、OECDにより推奨されている移転価格の文書化要求を導入するものです。さらに香港が、OECDによるBEPS行動計画にて記載されている四つのミニマムスタンダード1を満たすために、その他修正が盛り込まれています(「香港政府がBEPS対応立法に関する市中協議報告書を発表」(2017年11月15日付掲載))。また、本改正法案は、内国歳入庁が移転価格を通じた租税回避に対抗するための、強力な権限を与えるものといえます。

本稿では、改正法案の移転価格関連規定について解説します。

文件

April 香港における移転価格関連改正法案の発表.pdf