July 2016 Issue - BEPS 行動計画9 移転価格の結果と価値創出の整合性確保(リスク)~中国における対応、日本における対応、日中間取引における注意点~

BEPS 行動計画9:
移転価格の結果と価値創出の整合性確保(リスク)

今回はリスクにかかわるお話です。前回解説した無形資産を含め、近年、これらの実体をもたない価値表象同士の交換が経済の主流が占めるようになってきています。20 世紀を代表する経営学者であるドラッカーはこれらの現象を「シンボル経済」と名付け、その隆盛を予言していました。BEPS の観点からも、ここでいうシンボル経済と実体の関係がキーワードとなっており、BEPS行動計画9 においては、実体を持たないからこそ恣意的な(税源)移転が比較的容易であるリスクについて、その価値創出との関係に基づきその実体に則して認識し直さなければならないものとして、その方法についての議論がなされています。しかしながら、リスクという抽象的な概念は、そもそも実体のない一種の価値表象であり、これを実体に則して認識すべきという議論は、本質的には矛盾をはらんだ議論であるとも考えられ、このことがBEPS における議論を抽象的で理解しにくいものとしていることも否めないといえるでしょう。

文件

July 2016 BEPS 行動計画9:移転価格の結果と価値創出の整合性確保 (リスク) - その中国における対応、日本における対応、日中間取引における注意点 -.pdf