October 2017 - 資本金払込未了の中国子会社の連結について

中国の外商投資企業においては、原則的に払込を有する登録資本金という概念が存在し、また、合弁企業においては、利害が対立する可能性のある第三者と共同で会社を設立することから、特有の課題が発生する場合がある。本稿では、資本金払込未了の中国子会社の連結について、法規制及び実務処理の観点から検討を行う。

皆さんご存知の通り、連結財務諸表とは、複数の企業から構成される企業グループの財政状態、経営成績などを総合的に表示するために作成される財務諸表のことをいいます。そして、連結貸借対照表は企業グループの期末時点の資産、負債、純資産の状況を表示するために作成します。また、連結損益計算書は企業グループの一定期間の売上や費用、損益の状況を表示するために、連結包括利益計算書は企業グループの一会計期間の資本取引以外の純資産の変動額である包括利益を、連結株主資本等変動計算書は企業グループの一会計期間の連結貸借対照表の純資産の増減を、連結キャッシュ・フロー計算書は企業グループの一会計期間のキャッシュ・フローの状況を表すために作成されます。
近年の企業活動はその中心となる親会社とその連結子会社から構成される企業集団(連結企業集団)により実施されることが多く、この場合、子会社の経営意思決定は基本的にすべて親会社により行われるため、企業集団は一体として事業活動を行っていると捉えられることになります。従って、企業活動の実態を反映するためには、個々の会社という枠を超えて、企業集団全体としての観点から財務諸表を作成・開示することが求められるものとなっています。
このように経済活動において一般的な連結ですが、中国の外商投資企業においては、原則的に払込を有する登録資本金という概念が存在し、また、合弁企業においては、利害が対立する可能性のある第三者と共同で会社を設立することから、特有の課題が発生する場合があります。

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